労働安全衛生に基づいた化学物質のリスクアセスメント

化学物質は、私たちの暮らしの様々な場面で使用されており、便利で快適な生活を送るために欠かせないものである反面、ヒトの健康に害を与えるものや火災を引き起こすものがあることも指摘されています。
 
2012(平成24)年、大阪の印刷会社において、1,2-ジクロロプロパンを含む溶剤により胆管がんが発生したことを受けて、国は、労働安全衛生法の一部を改正し、化学物質のうち、安全データシート(SDS:Safety Data Sheet)の交付対象である640*物質を取り扱うすべての事業場に対して、危険性又は有害性の調査等(=リスクアセスメント)を行うことを義務づけました。(2016年6月1日施行)。
 
その後、2019年9月から2021年7月にかけて行われた「職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会」からの報告書やオルトトルイジンの経皮ばく露による膀胱がん事例などを踏まえ、「新たな化学物質管理」を謳った労働安全衛生法の一部改正が行われました。これにより、我が国でこれまで行われてきた「法令順守型の化学物質管理」から「自律的な化学物質管理」へと大きく舵を切ることとなりました。
(2023年4月1日/2024年4月1日の段階的な施行)。
 
労働安全衛生法では、リスクアセスメントを行う時期は、

などとしています。

 

労働安全衛生法に基づいたリスクアセスメントの一般的な流れと活用方法

労働安全衛生法では、化学物質のリスクアセスメントは次のような手順としています。

  1. すべての職場において、取り扱われる化学物質及び作業方法を洗い出し、
  2. 安全データシート(SDS)等により、その化学物質にどんな危険性・有害性があるかを確認し、
  3. 使用量や取扱方法、取扱状況などによってどのような労働災害が発生するおそれがあるかを見積もり、
  4. 発生した場合の負傷・疾病等の重篤度や発生する可能性の度合いを評価し、
  5. その結果を踏まえて労働者の化学物質へのばく露防止や、引火防止などのために必要な措置を検討する。
    (1-5までを労働安全衛生法では「リスクアセスメント」と定義)
    そして、リスクアセスメントの結果を踏まえ、
  6. 労働安全衛生法令に講ずべき措置が定められている場合は、該当する措置を講じ、
  7. そうでない場合は、リスクレベルが高いものから優先的に必要な措置を講じ、
  8. リスク低減措置を講じた結果を記録するとともに、低減措置後のリスクを再検討する。
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以上の流れを繰り返すことによって、より安全で健康的な職場環境の形成を目指します。
 

本学では「つくばモデル」と称し、リスクアセスメントを実施しているところです。CRIS登録データなどをベースに環境安全管理室が主体となって実施しておりますが、リスクが高いおそれがあると判断された場合
などは、個別に研究室にヒアリングを行うことがありますので、その際はご協力お願いします。
(※大学本部等事業場を指しており、他の事業場は除く)
 
大学における化学物質に起因する事故の多くは、学生が被害を被っており、その要因としてルール不遵守や
油断、場合によってはルール未設定なども挙げられています。学生が安心できる実験室を確保するためにも、
各研究室において化学物質の安全な取扱いを徹底してください。

 

※参考

 

<参考サイト>(外部サイトへリンクしています)

筑波⼤学における化学物質を取り扱う際の保護具着⽤⽅針 →

 

 

お知らせ

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2024.08.23 | 【再掲・追記】試薬・高圧ガスの全数登録及び棚卸について(依頼)/Registration and Inventory of All Reagents and High-Pressure Gas Cylinders (Request)

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